頑張らない。頑張る必要なんてない。
みんな、人に対して簡単に「頑張れ」って言うし、自分自身でも「頑張らなくっちゃ」って思ったりする。
だけど、そもそもどうして頑張らないといけないんだろう?
それはたぶん現状と理想のギャップを埋めるためだと思う。
「頑張る」ことで理想とする状態に持っていこうとしてるんだと思う。
ただ、逆に言えば、頑張らなきゃいけないということは、今の状態が望ましくない、ダメな状態だということになるよね。
だって、もし今が最高の理想的な状態なら、これ以上頑張る余地なんてないはずだから。
つまり、「頑張れ」って言われるということは、「今の、そのままのあなたではダメですよ」って言われてるのと同じことなんじゃないかな。
これって、考えてみると結構ヘビーなことだよね。(笑)
だって、認められていない、信頼されてないっていうことだもん。
例えばだけど、打率が10割のプロ野球選手がいるとするよね。
打率10割だから、どんなときでも必ずヒットを打つということ。
で、もし大事な場面でその人に打順が回ってきたときに、応援してるファンは頑張れって言うだろうか?
たぶん言わないよね。
だって、必ずヒットを打つことがわかってるんだから。
ファンは単に「この選手に打順が回ってきてよかった!」って喜ぶだけだと思う。
応援なんてしなくても必ずヒットを打ってくれるんだから。
だから、もしこの選手に応援の言葉をかけるとすれば、「頑張れ!」じゃなくて「いつもどおりで頼むよ~」じゃないかな。
あ。ちょっと話が脱線しちゃったね。
えーと。なんだっけ?
そうそう。思い出した。
頑張れっていうことの裏の意味が、「今はダメな状態だから、理想の状態になるように努力しろ!」っていうことだとすると、じゃあ、その理想の状態っていうのは、いったい誰が決めた理想形なんだろう?
それはおそらく、、、会社であれば、経営者や上司・同僚、社内外の空気なんかが「理想とする状態」をなんとなく醸し出して、そこに近づけるように「頑張ってくれ」と言う。
家庭であれば、理想とする父親像や母親像、夫像や妻像、子供像なんかがあって、
その理想に近づくことができるように「あなた、しっかり頑張って」「もう少し頑張ってくれよ」「ほら、もっと頑張りなさい」みたいなことになる。
受験生の親だったら、子供が目標としている(であろう)志望校に合格する、という理想の状態を手に入れるために「頑張れ!」と応援するのかもしれない。
日本社会の場合は、正しい日本人、普通の日本人、常識的な日本人、みたな実体のないモデルがあって、社会全体がそのようなモデルであるように努めろと言ってくる。
この場合は「頑張れ」とは言われないけど、頑張らなければ非難される、制裁を受けるという形になるかな。
スポーツだと、通常は試合に勝つという目標があるので、そこに向かって最適なパフォーマンスをする姿が求められて、観客やコーチは選手に向かって「頑張れ!」と応援する。
つまり、誰かから「頑張れ!」って言われる場合、どこに向かって頑張るかというと、その「頑張れ」と言った人たちが理想とする姿があって、そんなふうになるように努力しろ!って言われてるんだと思う。
でもさ、これってキツイよね。
受験生とかスポーツ選手であれば、多くの場合は自分自身で決めたゴールに向かっていて、応援する側もその同じゴールを共有している場合が多いだろうから、そんなにツラくはないかもしれない。
でも、自分が心の底からそうなりたいと思っているわけではない、一方的に決められた(期待された)理想を実現するために「頑張れ!」と言われるのはかなり苦しい。
しかも、その理想形というのは人によって異なってたりするから、いろんな人から「頑張れ」と言われると、自分を否定され、かつ幾つものゴールを設定されていることになる。
結局のところ、「頑張れ」というのは自分の理想や価値観を勝手に相手に押し付ける言葉だと思う。
言った本人はそんなこと思ってないかもしれないけど。
だから、僕はできるだけ人に「頑張れ」って言わないようにしてる。
子どもには、運動会みたいに本人がすごくやる気になってるときには言うけど、言いながらも、「別に頑張らなくてもいいよ」って心の中で思ってる。(笑)
そもそも、どんなことであっても、そんなに「頑張ら」なくてもいいんじゃないかなと思うんだよね。
本人が本当にやりたくてたまらないことなら、頑張ろうなんて思わなくても自然にやる気が出てくるものだし。
自然にやる気が出て何かに集中しているときは、頑張ろうなんて思わなくても夢中になって取り組んでると思う。
だから、頑張らなきゃできないことは、本来その人にとってやる必要のないことだと思う。
もう、誰かに「頑張れ」と言うことも、自分で「頑張らなきゃ」って思うこともやめよう。
頑張る必要なんてない。
頑張らなくても自然にやりたくなること、ワクワクして夢中になれることを見つけよう。