はてなブログレスポンシブ対応

 さあ、面白くなってきました。

考え方一つで、人生はどんどん楽しくなるね

悪魔祓いが必要かもしれない。

f:id:rossoporco:20210822222334p:plain

 

 

前回こんな記事を書いたけど。

 

 

これを書いた後で「悪魔祓い」について思い出したので、今回はそれについて書いてみたい。

 

はい、そこのあなた。

「おいおい、悪魔祓いって。。。コイツまたわけわからんこと言い出したぞ。」って思ったよね。(笑)

 

 

僕は本が大好きなので我が家の書棚にはたくさんの書籍が眠っているんだけど、その中でも異彩を放つ一冊がある。

 

f:id:rossoporco:20210821115016j:image

 

危ないクスリをやってハイになった人が描いたんじゃないか?と思いたくなる表紙とタイトル、そしてこの、ゆる~い出版社名!(笑)

 

まあ、見た目はかなりクレイジーな印象だけど、この著者の上田紀行さんという人は、れっきとした文化人類学者(東工大教授)だ。

 

そして、この本の冒頭に、件の「悪魔祓い」のエピソードが出てくる。

これは文化人類学者である上田氏が、スリランカの農村でフィールドワークをしたときのエピソード。

 

かなり長くなるけど、とても面白いので引用するね。

 

 

どこがおかしいのか分からないけれど、何かが絶対おかしい、そんな時代に生きています。

裕福になったといいながら、いつもどこか満たされず、元気元気といいながら、顔色は決して冴えず、平和といいながら、核の恐怖におびえ、人権が脅かされ、飢えと貧困のために死ぬ人の数はしれず、自然は大切だと言うそばから自然がどんどん破壊されていく。

何事も思うようにならないものだ、と諦めてしまえばそれまでですが、しかしいま諦めてしまうと近いうちに何か恐ろしいことが起きることを誰もが薄々感じてきています。

 

私たちの直面している問題とはいったい何なのか、そしてその原因は何なのだろう、そんな誰もが知りたい、けれどなかなか実際は問われることのない問いにこれから勇気を出して取り組んでみたいと思います。

 

その出発点としてぼく自身の体験から少しお話してみようと思います。

それは「悪魔祓い」についてです。

「えーっ? 何で世界の危機と悪魔祓いが関係あるの」とびっくりされるかもしれません。

けれどどうかお聞きください。

現在の世界の危機はそのくらいの奇襲作戦でもなければなかなかアタックの糸口がつかめないものなのです。

 

それはぼくが二年半程いたスリランカでの話です。

病人に対して悪魔祓いをするという伝統は都市ではもうとっくの昔に無くなっていて、都会の人は「あんな迷信のことを調べてどうするの?」と冷ややかですが、南部の農村ではいまも悪魔祓いは行なわれています。

 

その患者はというと、それが私たちもおなじみの病気の数々です。

無気力になって仕事に行けなくなったお父さん、登校拒否の少年、体がだるいけど病院に行っても治らない、原因不明で顔色が悪くなってきたと思ったら本当に病気で寝込んでしまった、等々。

これは悪魔の仕業ではないかと疑われると家族は悪魔を祓う呪術師、シャーマンを呼んで来て診断の上、悪魔祓いを行なうのです。

 

その悪魔祓いの儀式は、おどろおどろしいものと思いきや、実はものすごい活気に溢れた一大パフォーマンスです。

患者の家の庭で行なわれる徹夜の悪魔祓いには親戚や近所の人が百人以上もつめかけて見守ります。

激しい太鼓のリズムに乗って、カラフルな衣装をまとったシャーマンは歌い踊り、悪魔を呼びます。

患者によっては悪魔が乗り移り、シャーマンはその悪魔と対話をして、患者から去ることを約束させます。

そして面白いのは朝方のお笑い漫才大会。滑稽な仮面をかぶって出てきた悪魔が太鼓叩きとの間で駄洒落あり、下ネタあり、流行歌の替え歌ありのギャグの連発。

思わず患者も笑いだし、周りの家族と村人と一緒に腹の底から笑いあっているうちに夜が明け、何と不思議なことに昨夜まで元気の無かった患者には元気が満ち溢れてきて、体の不調も治って行くのです。

 

この悪魔祓いは不思議に見えて、実はしっかりとした論理が隠されています。

まずどんな人が悪魔憑きになるかというと、村人もシャーマンも「孤独な人」と言います。

悪魔が来ることを「悪魔の眼差しが来る」というのですが、孤独な人が悪魔に眼差されてしまうのです。

つまり、ひとはお互いに眼差し眼差されあっている温かい輪の中にいれば悪魔は来ないけれど、その輪から外れてしまうと悪魔が来てしまうのです。

だからその人を癒すにはもう一回私たちの輪の中に迎え入れなければならない、それが悪魔祓いなのです。

 

この考え方は、私たちの対処の仕方とかなり違っています。

私たちの社会の中で同じことが起きると、私たちは患者に「病人」というレッテルを貼ります。

そして患者と周りとのつながりの中に原因があるというよりも、患者自身の中に何か原因があると考えて、私たちはその患者をもっと孤独で白く冷たい空間へと送り込んでいくのです。

 

そこにはふたつの対照的な考え方があります。

一方では「いのち」はつながりの中にあります。他の命とつながっているときには元気でつながりが失われると生命力が弱まってくる、そんな考え方です。

もう一方では「いのち」はあくまでも個々別々のものです。私のいのちは私のいのち、あなたのいのちはあなたのいのち、他のいのちがどうであろうと私のいのちには関係がありません。

そして問題はそのどちらが「合理的」でどちらが「迷信」なのかということなのです。

 

シャーマンの先生が言ったことで、もうひとつははっとさせられた言葉がありました。

「どんな病人も本人のこころがわくわくしなければ絶対治らないよ」

確かにこころが癒され、体が癒されるときはいちばん嬉しいときに違いありません。

でもそれなら、なぜ私たちは日本でルンルン気分で病院に行かないのだろう。

そして、日本は豊かになったとか言うけれど、どうも「わくわくしてる」日本人ってあんまり見たことないなあとその時思ったのでした。

 

(上田紀行『覚醒のネットワーク』p10-13)

 

この本の初版が書かれたのは1989年なので、「鬱(うつ)」というような病名は出てこないけれど、ここで取り上げられているスリランカの話は、今でも十分通じる内容だと思う。

 

このスリランカの話では、何らかの理由で心を病んでしまうのは「孤独」によって悪魔に目をつけられたからだけど、そもそもの原因は「いのち」の切り離しにあると解釈する。

だから、当時のスリランカでは「悪魔祓い」によって、当人と周囲の人とのつながり(いのちのつながり)を再構築することで「孤独」を解消しようとしてたわけだ。

 

僕が面白いと思ったのは、この場合の「病」は、病気を患った本人自身ではなくて「本人と社会との関係性」に原因があるとみなしている点。

 

これは、著者の上田氏が言っているとおり、今の僕らの社会とは真逆の発想だけど、薬漬けにして社会から切り離そうとする現代医学よりも、「つながり」を再構築しようとするスリランカの悪魔祓いのほうが僕には納得感がある。

 

 

ところで、そもそもの話なんだけど、僕は「孤独」と「孤立」は違うと思ってる。

で、僕自身に関して言えば、「孤独」は平気だけど「孤立」は怖い。

 

どちらも同じような言葉だけど、Wikipediaで調べてみると、こんな感じ。

 

孤独

他の人々との接触・関係・連絡がない状態を一般に指す。

 

孤立

他者と何らかの群を形成せずに、単独の状態にあって他者とのつながりや助けのない状態にあること。

 

 

「孤独」は、一時的に他者との接触がないという感じなんだけど、「孤立」の場合は他者とのつながりがないだけじゃなくて助けも得られない状態、と。

 

これは僕の勝手な解釈だけど、「孤独」は自ら選ぶこともできるけど、「孤立」は自分の意思とは関係なく一方的にそういう環境に置かれること、かな?

だから、僕は「孤独」より「孤立」のほうが怖いんだよね。

 

 

つい最近もあったけど、毎年のように日本のどこかで無差別的な通り魔事件が起きていて、犯人の言動を見ると、社会の中で「孤立」しているという点が共通しているように感じる。

 

彼らは社会から切り離され、「孤立」して、そして悪魔に取り憑かれた結果、暴挙に出るんじゃないだろうか。

 

そういう意味で僕は、悪魔というのは、「孤独」な人ではなく「孤立」した人に取り憑くんじゃないかと思ってる。

 

上田氏の解釈を流用させてもらうと、問題は「孤立」した本人というよりも、「孤立」を生む社会のシステムにある。

だから、そのシステム自体を改修しなければ、「悪魔に取り憑かれる人々」を減らすことはできない。

 

ただ、この社会システムをひっくり返すのは容易ではないだろうから、せめて「孤立」した人と社会との関係を結び直すための「悪魔祓い」をしていかなきゃいけないんだろうと思う。

 

なんてことを言うとわけがわからなくなっちゃうけど、要は、もし僕らの周囲に「孤立」して苦しんでる人がいたら、その人を特別視して切り捨てるのではなくて、寄り添ってあげることが大切なんじゃないかな?っていうことだ。

 

 

・・・やべぇ、ここまで書いてきたけど、落としどころがわかんなくなってきたぞ。(笑)

 

 

・・・ということで、今回はちょっと難しい話になってしまったけど、『覚醒のネットワーク』はとても面白い本なので、機会があったらぜひ読んでみてね!

 

いやいや、締めが強引すぎるだろ…。(笑)

無茶言うなよ…。

 

 

どうも僕が悪魔に取りつかれたみたいなので、今日はこの辺で!(笑)

 

shivai !! 

(誰もあなたの進む道を邪魔することはできない)

 

 

ブログ村ランキングに参加しました。

ポチッと応援、いつもありがとうございます!^^

    

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

さあ、面白くなってきました。 - にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村 さあ、面白くなってきました。 - にほんブログ村