見えないものが99%
先日、NHKの「冥王星 氷の天体の秘密」という番組を見た。
地球から48億キロという遠く離れたところにある天体の謎を解き明かすという内容だった。
まあ、そのこと自体はどうでもいいんだけど、こういう宇宙に関する番組なんかを見てると、視野が広がるよね。
僕らの日々の暮らしが、自宅や職場を中心にした半径何キロかの中でほぼ完結するとすれば、多くの人は普段とても狭い「世界」の中で暮らしていることになる。
子どもの場合は、おそらく家と学校という、さらに狭い「世界」で生きているんだろうと思う。
だけど、僕らが生きている「世界」はそんな狭い場所じゃない。
当然ながら、日本という国で生きていることはすぐにわかるし、そして、地球上で生きていることも多くの人はわかっている。
ただ、日常生活においては、そこまでの規模で自分のポジション(現在地)を考えていないというだけだ。
そして、さらに俯瞰すると、僕らは太陽系、銀河系、そして無限の広がりを持つ宇宙の中にいるわけだけれど、そんなことまで考えて生きている人はほとんどいないと思う。
宇宙という得体の知れない広大な空間の中で生きていることを想像すると、自分の足元が揺らいでしまうような不安に襲われるから、あえて考えないようにしているのかもしれない。
そういうわけで、僕らは普段、とても狭い「世界」の中で生きている。
さらに、現代人の多くは目から入ってくる情報を重視する傾向が強いから、目に見えるものがすべてだと思いがちだ。
だけど、この広大な宇宙の規模から考えたら、実は目に見えるものなんてほとんどないんだよね。
というのも、最近の宇宙物理学や天文学では、宇宙を構成する物質とかエネルギーの割合について、こんなふうに考えられている。
- 原子等の通常の物質 4.9%
- ダークマター 26.8%
- ダークエネルギー 68.3%
このダークマターとかダークエネルギーというのは、簡単に言うと、“何だかわからないけれど宇宙に存在しているはずのもの” ということだ。
こういう “未知のもの” があると想定しないと、現代宇宙論的に計算が成り立たないらしい。
つまり、僕らが認知できるものは宇宙全体の4.9%しかないということ。
逆に言えば、95.1%は何だかよくわからないということ。
しかもこの4.9%というのは原子でできているものという意味だから、空気のように肉眼では見えない物質や、それこそウイルスのように小さなもの、はたまた地球から遠く離れた巨大な惑星や恒星なんかも4.9%に含まれている。
だから、この4.9%からヒトの肉眼で知覚できないものを差し引くと、僕らの目に見えているものなんて “ほとんどない” と言ってもいいくらいなんだよね。
つまり、この宇宙を構成する99.9999…%以上のものは、僕らの目には見えないということ。
はっきり言ってしまえば、僕らは何もわかってない、何も知らないってことなんだよね。
偉そうなことを言っている学者や政治家や僧侶も、物知り顔で説教する親や上司や教師も、誰も、なーんにもわかってない。
もちろん僕自身もなーんにもわかってない。
それでも、地球上で生きる分には特に困ることもないから知ったふうな顔で平気で生きているわけだけれど、実は何も知らないんだよね。
だけど、もし、そのことを心の底から自覚することができたら、僕らの考え方や生き方はずいぶん変わるかもしれない。
もう少し謙虚に、いろんなことに向き合えるようになるかもしれないね。
「冥王星の謎」を追いながら、ふとそんなことを思ったのでした。
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