命とは何か?
もう15年くらい前になるけれど、僕は一時期、速記会社に勤めていたことがある。
速記会社とはいうものの、このIT時代に速記なんて必要とされてないから、速記の仕事なんてほとんどなかった。
僕が入社したときには、録音取材した音声を文字に起こして、その原稿を納品することを生業とする会社になっていた。
僕はその会社で校閲の仕事をしていたんだけど、あるとき医師の日野原重明さんの講演会の録音テープを原稿化する機会があった。
その講演会の冒頭で、日野原さんは開口一番こんな問いを投げかけた。
「命とは、何だと思いますか?」
こう尋ねられたら、あなたはどう答えるだろう?
当時の僕はまだ20代で、「命」について深く考えたこともなかったから、すぐに答えが思い浮かばなかった。
日野原さんが言うには、命とは何か?と聞かれたときに「心臓」を思い浮かべる人が多いらしいけど、当然ながら「命=心臓」というわけじゃないよね。
じゃあ、命っていったい何なんだろう?
日野原さんはこう言っていた。
「命というのは、あなたが持っている時間のことです」
会社のデスクで録音テープを聞きながら原稿を見つめていた僕は、慌ててテープを止めて手帳を取り出し、「命=時間」とメモした。
これは凄いことを聞いたぞ!って、一人で静かに興奮したのを覚えてる。(笑)
それ以降も「命」について考えることはあるけれど、いまだに日野原さんの定義を覆すことはできなくて、やっぱり命っていうのは時間だよなぁと思う。
僕の命は、生まれてから死ぬまでの時間であり、僕に残された命は、今この瞬間から死ぬまでの時間だ。
もし僕が1時間後に死ぬとしたら、僕の命=1時間 ということだ。
そう考えると、時間を粗末にするということは、とりもなおさず命を粗末にすることと言える。
そういえば、Appleの創業者スティーブ・ジョブズはこんなことを言っていた。
If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?
もし今日が私の人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に私がやりたいことだろうか?
Steve Jobs (スティーブ・ジョブズ)
以前にこんな記事も書いたけど、「他人軸」ではなくて「自分軸」で生きなきゃ!と、改めて思う。
せっかく与えてもらった一度きりの大切な命(時間)なんだから、自分が本当にやりたいと思うことに使いたいよね。
やりたくないことを嫌々やってる場合じゃないぜ!!(笑)